藍と航平は結婚を決めた。
今日は、藍の両親に結婚の挨拶をする日。

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緊張している航平。相手の両親への挨拶だ、無理もない。ただ、それだけでもない。
目の前には、藍の両親である2人――ではなく、なぜか4人いる。

 

航平はおそるおそる聞く。「えっと……どなたがご両親……」
すると4人は、「母よ」「父親だよ」「母です」「父だけど」

 

状況が飲み込めない航平に、藍はこう言った。
「私……2つの家族にシェアされてるの」

 

藍は、2つの家族に日ごとにシェアされながら育った子どもだった。
「こっちの家とあっちの家でかわりばんこ。ずっとそれでやってきたの」

 

混乱する航平。それでも結婚の挨拶をやることに。ただ、両親4人はそれぞれ性格や好みが全くちがう。

こっちを立てればあっちが立たず。どんどんボロが出る始末……。

 

はたして、藍と航平は、2つの家族から結婚を認めてもらうことができるのか。

 

これは、シェアされた女性が、へだてられた2つの家族を行き来しながら織りなす、団欒の時間の物語。